こばのページ/ラテン語/日記: 2023-10

2023-10-23 1:44

ラテン語の neuter には「中性」と「どちらでもない」の二つの意味があると勘違いしていた。しかし https://swetabi.com/substantiv_enett を読んで、「中性」というのは「男性でも女性でもない」という意味なので後者と同じということに気づいた。

2023-10-19 10:40

二重対格 (double accusatives) について。 ラテン語において、動詞が目的語を 2 個とりそれらが両方対格である場合、それを二重対格と呼ぶ。

英文法では動詞が目的語/補語を 2 個取る場合に SVOO, SVOC という分類をする。もちろん SVOC に分類されるのは 2 個の目的語が同じ場合である。個人的に調べた様子だと、ラテン語では SVOO のパターンが 2 種類に分かれるようである。

なお、受動態については以下の通り。

受動態について日本語の Web 記事をいくら調べても見つからなかったので、英語の記事であっても見つけられてよかった。

[ag]: https://dcc.dickinson.edu/grammar/latin/double-accusatives

2023-10-15 19:35

筆者は John Rutter の The Lord bless you and keep you という合唱曲が好きである。この曲の歌詞は (民数 6:24-26) が元になっている。

ラテン語部分は以下の通り。ウルガタから引用した。

Benedīcat tibi Dominus, et custōdiat tē.
Ostendat Dominus faciem suam tibi, et misereātur tuī.
Convertat Dominus vultum suum ad tē, et det tibi pācem.

英語訳は以下の通り。King James Version から引用した。

The Lord bless thee, and keep thee:
The Lord make his face shine upon thee, and be gracious unto thee:
The Lord lift up his countenance upon thee, and give thee peace.

元々のラテン語文だと動詞が軒並み接続法の三人称・単数・現在になっていて、願望や命令を表すことが分かりやすい。英語版ではそれぞれの文が May the Lord ... で始まっていると思えば理解の助けになる。(動詞が原形であることの説明もできる)

蛇足

「ヴルガータ」で検索したら《時械神祖ヴルガータ》という遊戯王 OCG のカードを見つけた。

2023-10-13 2:09

Tē Deum の一節、Pleni sunt caeli et terra maiestatis gloriae tuae. について。

plēnus (満たされている) は奪格をとるものと思っていたが、属格を取ることもできる (辞書のエントリー) ので、これで「天と地はあなたの栄光の偉大さによって満たされている」と訳すことができるようだ。

2023-10-06 23:07

fidēs や fidēlis の fi は短音節なのに confīdo の fī は長音節なのか…。

2023-10-06

形容詞の子音型格変化 (名詞の第 3 変化みたいなやつのうち、-is, -is, -e でないもの) について、単数奪格が -ī で終わるか -e で終わるかの区別が非常に難しいようであり、コンピュータープログラムで実装する者泣かせに思える。

2023-10-05

ラテン語学習のマイルストーンについて。雑感だとこのような感じ。

  1. 発音ができる
  2. 頻出語の変化・活用がなんとなく認識できる
  3. SVO や SV の形の単純な文について、説明されれば認識できる
  4. sum, esse を使った簡単な文を認識できる
  5. 格を (主格・対格) (与格・奪格) (属格) の 3 グループに分けた時、(主格・対格) のグループの主な働きや変化を認識し、記憶できる
  6. 全ての格の主な働きを認識できる
  7. 全ての格の主な形を認識し、記憶できる
  8. 動詞の主な活用を認識できる
  9. SVO1O2 や SVOC の形の文について、認識できる
  10. 単語の長短を覚える
  11. 関係代名詞、接続詞を覚える
  12. 分詞 (現在分詞・未来分詞) を覚える
  13. 受動態 (受動完了分詞) を覚える
  14. 中難易度の構文 (対格不定法・絶対的奪格・動形容詞・動名詞・目的分詞など) を認識できる

私が 14. どまりなのでそれより先はわからない。念のために書いておくとこの順番通りにやる必要はないし、普通は何個か並列にやっていくことになるだろう。(一応依存関係によるトポロジカルソートはされているはず。つまり、上のものが下のものを要することはないはず。)

2023-10-04

dō (与える) の活用をことごとく dā… と勘違いしていた。(正しくは da… であり、例えば命令形は da/date であり、不定法は dare である。)

ONLINE LATIN DICTIONARY に dāre が不定法だよみたいに書かれていたら気づけないって。最終的に山下太郎先生のページを見て気づいた。

2023-10-04

Crēdendum est … sōlī Marīae vērācī … という文について、 sōlī の元の名詞や変化がわからなかったので、Latin Language Stack Exchange に質問を投げた。 What’s the meaning of “soli” in this sentence?

答えとしては sōlus の女性・単数・与格ということ。sōlus や ūnus あたりの形容詞は活用が独特で、単数属格 (-ius) と単数与格 (-ī) において不規則であるということを把握していなかった。 ちなみにこのような形容詞は 9 個あり、UNUS NAUTA というニーモニックがある。

単語 意味 コメント
ūnus 一つの  
nullus なにもない n + ullus
ullus (否定語と呼応して)なにもない  
sōlus 唯一の  
neuter, -tra, -trum どちらも〜ない ne + uter
alius 他の  
uter, utra, utrum 二つのうちどちらか  
totus 全体の  
alter (二つのうち)もう一方の  
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